06  往壌来雲/古鼈今月 第二章 序言

「錫乎よ。お主先程からキョロキョロと・・・一体何を見ておる」


「のう姉者。あれが進駐軍かえ」


「その様じゃ」


「あの者らが手にしているのは何ぞえ」


「あれは映写機と言うてのう、こちらを映すからくりじゃ」


「わしらも映りよるか?」


「わしらは映らん」


「・・・錫乎もあれが見たいがじゃ。のう姉者、のう・・」


「詮無いのう・・・念のためじゃ、気配も消してゆくがよい」



     *     *     *




「はははは、何か見えたか?見えんかったろう。あれは向こうから覗くもんじゃ」


「錫乎の万華鏡が見えよった」


「何?お主、あれで万華鏡を探して居ったか。して今何処に」


「わからん。誰かこちらを覗いて居った」


「それはあれを手にしている者の眼じゃろうて」


「そうかのう・・・」


「何れあそこで失くしたのだ、もう諦めい」


「この邦の者と同じ眼じゃったが・・」


「ほう・・・」




「とても怯えた目をしておったわ——— 」

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